メセンの本の話
久しぶりの更新になってしまいました。仕事に加えて植物本出版の準備が忙しく、10月は記事が書けなかったのですが、このブログは色々なことの原点でもあるので、間はあいても更新するようにしたいと思ってます。
先週末、年季の入ったコノフィツムコレクターの栽培場を訪ねて、作りこまれた美しい群生株に溜息をつきました。久々にスイッチが思い切り入ってしまって、週末はコノフィツムの皮むき→株分け→植え付けの大車輪。サボテンたちが静かになる秋、瑞々しく膨らんで動き出し、美しい花を次々と咲かせるコノフィツム。小さくても精密で、見れば見るほど引き込まれる素晴らしい植物群ですね。
Conophytum turrigerumn in 'habitat-like' arrangement.
ここに載せているのはすべて私の栽培株で、名人のものではありません。写真を撮るためにお邪魔したのですが、名人の標本写真は、来年出す予定のメセンの本に載せるつもりです。コノフィツムについては去年、conoconoさんの素晴らしい本が出ましたが、リトープスやその他もろもろのメセン全般をカバーする書籍がみあたらないので、作ってみようと思ったわけです。サボテン本の方も忙しいので、メセン本の方は、 The Succulentist こと河野忠賢さんとの共著で進めることになっています。
Shabomaniac! & Succulentist のコラボというわけで、私の引き出しに加え、博識でセンス抜群な彼のアイディアも加わればきっと面白い本になると思います。ちなみに河野さんは近く訳書「Secrets of Namaqualand Succulents」(グラフィック社・11月発売予定)を出版するそうで、私は原著を読みましたがメチャ内容濃い本。文字数も多いので日本語だと助かります。
Conophytum,obcordellum 'picturatum' LAV25590
来年出すメセン本も基本は黒バックでの標本写真を中心に構成する予定ですが、成長期と休眠期の比較や、自生地の画像、アレンジメントの楽しみなど、多角的に魅力を伝える内容にできればと。もちろん栽培法も詳述します。皆さんのなかで、良い写真お持ちの方はぜひ提供して頂けたら、と思います。
サボテン本の制作でも苦労していることがひとつあって、日本のコレクターは栽培する種がすごく限定的な傾向があるのです。どの方の栽培場に行っても、あるものはあり、ないものはない。というか、市場性の高い特定の種は皆さんが作っているのですが、マイナーなものを網羅的にコレクションしている方はなかなかおられません。メセンでも、コノ、リト以外のマイナー玉型種や塊根種は数が少ないし、枝もの草ものメセンとなると、滅多に見かけません。特にこれらのコレクションをお持ちの方、ぜひぜひご連絡いただければありがたいです。そんなマイナーなものを、というひともいるけれど、皆が持っている植物ばかり載っている本では面白くないので、あまり知られていない種の魅力こそ、伝えたいと思っています。
Conophytum auriflorum R933 Templekloof, Komaggas
最近はコノフィツムでも特定の種に人気が集中しがちで、かつてのように愛好家同士で気軽に交換したりするのも、やりにくくなりました。とはいえ、むかしながらの足袋型種や鞍型種、花もの、あとは旧オフタルモなどは、まだまだ現実的な価格で流通していますし、ブランド化した種類に限らず、幅広く関心を持ってもらえればいいなと思います。なので、来年出す本にはマイナーなものもたくさん載せてメジャーにしてあげたいなと。
テーマ : サボテン・多肉植物・観葉植物
ジャンル : 趣味・実用